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1 政教分離とは
 日本国憲法20条は「信教の自由」の保障に続き、「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」(1項後段)、「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」(3項)として政教分離原則を規定しています。また憲法89条は財政面からも政教分離原則の徹底を規定しています。
 
2 政教分離原則が規定されている理由
 日本国憲法の保障する「信教の自由」には、特定の宗教を信じる自由のみでなく、いかなる信仰も持たない自由をも含まれます。しかし歴史上、国家が特定の宗教と結びつくことは、他の宗教者や無宗教者に対する宗教的迫害を生み、少数者の信仰の自由が侵害されることになることは明らかです。従って信教の自由の保障には、国家の非宗教化、国家と宗教との分離が要請されることになります。 しかし、日本国憲法の政教分離原則は、それ以上の特別な意味を持つものです。
 戦前の「国家神道」は、日本軍国主義の精神的支柱として中心的役割を果たしていました。その中核となったのが靖国神社です。靖国神社は他の神社と異なり、陸・海軍省の所管に属する軍の宗教施設でした。そして「天皇陛下」や「お国」のために戦死した者は、靖国神社「神」として祀られることになっており、しかも「神」である天皇がお参りすることになっていました。このようにして靖国神社に祀られることは、一般の国民にとって、この上ない「至上の栄誉」とされたのでした。日本軍国主義は、このような仕組みを利用して侵略戦争に国民を総動員していったのです。 
 こうした状況をふまえて、連合国軍総司令部は、1945年12月15日、いわゆる「神道指令」を発し、神道のもっていたあらゆる国教的性格を剥奪したのです。そして、日本国憲法は、信教の自由、政教分離の原則を明確に定めたのです。 
 以上の様に、日本国憲法上の政教分離とは、漠然とした国家と宗教の分離という意味ではなく、その由来は国家と神社神道との厳格な分離を目指すところから出発しているのです。

 政教分離の侵害を監視する全国会議(政教分離の会)

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